板引技法

板引とは、装束の布地に光沢と張りを付与するために行われた装飾加工技法となりますが、昭和の御大礼から廃止され、その詳細は不明とされてきました。

当店では、江戸時代後期から残る裂見本帳に板引の残布があり、新聞に先々代(資料掲載)も先代も、板引作業が写真付きで掲載されていることから、まさに一子相伝として伝わっていたのがわかります。その技を正しく伝承するため、現在も研鑽中です。

同志社女子大学から十二単の打衣「板引」の発注を頂いた事を契機に、同大学の清水久美子現名誉教授にご指導賜り、以後、平安神宮時代祭平安婦人列「清少納言」十二単の唐衣〈衿裏〉、打衣〈衿・衽〉、裳〈引腰裏地〉をはじめ、大阪大谷大学博物館十二単の唐衣〈衿裏〉等に板引の実績を重ねてきました。今後、人長装束の小忌衣〈赤紐〉について予定をしております。

*時代祭の装束は伝統服飾工芸協同組合として調進しました。

時代祭 清少納言 裳 引腰 裏
時代祭 清少納言 唐衣 衿裏
時代祭 清少納言 打衣 衿、衽
大阪大谷大学博物館 板引布地